薪ストーブ必須知識
薪での焚火は火の粉が多く出ます。オープン状態で、薪での焚火は山火事を起こします。特に乾燥の時期に強風が吹いている日はどなたでも簡単に山火事を起こす可能性があります。決して他人事ではありません。山火事の消火活動は極めて難しく、強風時は瞬く間に燃え広がり大惨事を招きます。
焚火は古来より人類が暖を取ったり、調理したりして重宝してきました。焚火を囲んでみんなで団らんしたり、炎を眺めて何とも言えない癒しが得られます。このため多くの愛好家がいるのも事実です。だが、大惨事を招くリスクが伴います。
このリスクを何とか回避して、安全に焚火を楽しむ方法はないかと考えて辿り着いたのが、優秀な屋内用薪ストーブを屋外のテラスで使うことです。薪ストーブは密閉空間で、火の粉は出ません。但し、強風時、扉を開けたりする時に火の粉が飛び出ることがあるため、控える必要があります。
当施設の薪ストーブは重量130㎏のやや大型の薪ストーブで、炎を眺めるための大きめの耐熱ガラスと環境を配慮してできるだけきれいな排気を出す二次燃焼機能つきです。
使用料金:2000円、薪一かご:1000円
薪ストーブを使用するにあたって、必要な知識をしっかり身に着けることが大事です。ご利用される方は、以下の使用上注意事項、薪の補給量とタイミングの要点の説明を当日受ける必要がございます。予めお読みになられることをお勧めいたします。皆様が安全で怪我のないように楽しんでいただけることを心より願っております。
薪ストーブ使用上注意事項
- 必ず乾燥薪を使う事
湿った薪は不完全燃焼を起こしやすく、煙や臭いが出るだけでなく煤やタールも多く発生します
- ゴミ焼却厳禁
水分を含んだものは不完全燃焼を起こし、プラスチックは有毒ガスを発生します。薪ストーブは焼却炉ではありません。
- 火傷(やけど)注意
火が回った薪ストーブ本体は何百度の高温になっているため、薪を追加される際には、必ず専用の手袋を使うこと
- 薪ストーブの周り
可燃物、スプレー缶、引火性のある液体などは周りに置かないこと
- 散水ホースの確認
万が一に備えて必ず散水ホースの位置を確認すること。当施設はすべての部屋に届くように散水ホースを配置しております。
- 強風時使用禁止
乾燥・落葉・強風、この三要素が備わると、簡単に山火事は起きます。強風で多くの落葉は薪ストーブの周りに飛んで来て引火したり、薪ストーブの扉を開けた時に火の粉が飛び出て近くの落葉に引火します。
- ストーブのドアを閉めておく
ドアを開ける度にストーブから熱が逃げるため、ストーブが効率よく燃焼しません。さらに、健康に良くない煙が出ます。
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- ストーブの火が安定したら、薪を追加する時以外は扉を開けないようにしましょう。
- 空気が一気にストーブに入り込んで煙が発生しないように、ドアをゆっくりと開けましょう。
- 扉を閉めておくことで、火災の原因となる火の粉や炎が飛び散るのを防ぐことができます。
- 耐熱ガラス注意
耐熱ガラスは熱に強いですが、衝撃には一般のガラスと同じように弱いです。とても高価なものなので取り扱いは十分ご注意ください。割られた場合は一律2万円弁償していただきます。
焚き火、暖炉と薪ストーブの違い
焚き火と暖炉は直接炎から熱を得て暖を取りますが、薪ストーブはさらに進化した考えで、薪ストーブ本体たる鉄の塊(当施設のは130KG)を300~600度まで上げて、この本体から発せられる輻射熱で暖を取ります。それゆえ一旦火が回った薪ストーブは一定の温度をキープするように、適量の薪と空気量の調節がポイントになります。
鋳物は蓄熱性が高く、輻射熱による遠赤外線の効果が高いため、薪ストーブによく使われる故になります。
薪ストーブの焚き方
- 扉の上下にある空気調整レバーを全開にします。
- 薪を下から、太薪(2本程)→細薪の順に井桁状に重ね、トップもしくは細薪の間に着火材を置きます。扉はわずかに開けます。
- 細薪に火がまわったら、扉を閉め、太薪に火がまわるのを待ちます。
- 全体に火が回って炎が安定したら、炉内への空気の供給を減らします。空気調整レバーを動かして、吸気口が1/3ほど開いている状態にしましょう。こうすると、薪が燃え続けるのに十分な空気は供給されますが、炎の勢いが強すぎたり、薪が早く燃え尽きるのを防ぎます。
- 薪を追加するときは必ず専用の手袋をして補給してください。火が回った薪ストーブ本体は大変熱く、触れた瞬間に火傷します。
適切な薪の補給量
一旦火が回った薪ストーブは一定の温度をキープすることがポイントになります。おおよそ炉内1/3の高さまで、もしくは薪1〜3本程度で十分です。この投入量を超えて薪を入れすぎると、温度が上がりすぎ、部品を傷める原因にもなります。加えて、可燃性ガスの揮発量が増えすぎるため、酸素量が不足し、不完全燃焼を起こします。効率よく使うためにも、規定の量を守ることが大切です。適切な量によってきれいな炎も鑑賞できます。
薪追加のタイミング
入れた薪が燃え尽きてしまったら、薪を補給する必要があります。
薪の燃焼には、4つの段階があります。
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- 点火して徐々に炎が大きくなる
- 温度が上昇、最盛期を迎える
- 少しずつ下火になり減衰期を経て熾火(おりび)になる
- 白く灰になりながら終期となり、燃え尽きる
ここで、2の段階で薪を補給してしまうと、揮発するガスの発生量に対し、それを燃焼させる酸素が足りなくなり、不完全燃焼を引き起こします。このような状態で薪を補給してから煙突をみると、もくもくと煙が出ていることでしょう。これは、不完全燃焼をしている上に、薪のエネルギーも熱に変換されず、排出してしまっている状態です。
正しい補給のタイミングは、3の段階。一度空気調節レバーを全開にし、炎があがってくるまでしばらく待つと、スムーズに火が回ります。
煙突の役割
煙突は、ただ煙を排出するためだけのパイプではありません。煙突の重要な役割は「ドラフト」を発生させることです。ドラフトとは上昇気流のことで、下から上へと流れる空気の流れのことを言います。
燃焼により熱せられた空気、排気ガスは密度が薄くなり、熱膨張によって広がろうとします。そして比重の差によって上方に上がろうとする力が生まれます。これを煙突によって閉じ込め、上だけを開放してやれば、排気ガスの排出速度を上げることができるというのがドラフト効果になります。煙突は長くすればするほど排ガスが加速し排出速度は上がります。
排ガスの排出速度が上がる分、燃焼室側の気圧が薄くなる事で、燃焼の為の空気(酸素)を多く取り込む事ができるようになり、燃焼効率を高めることができます。燃焼効率を高めることは、不完全燃焼が抑制され環境汚染物質の低減と省エネにつながります。
二次燃焼
二次燃焼とは、一次燃焼の際に薪などを燃やすことによって発生するガスや煙に、暖かい空気を吹き付けて更に燃やす仕組みのことを言います。
薪を燃やした際に発生する煙は「未燃焼ガス」と言い、この煙(未燃焼ガス)が「燃料」となっている、と言い換えることができます。
本来、煙である未燃焼ガスは、燃やされないまま放出されます。これを「不完全燃焼」と言います。
しかし、煙も燃料になりますので、せっかくの燃料(煙)を残さずにしっかりと燃やし尽くせるようにしよう、というのが二次燃焼方式です。
煙を燃やすことにより、排気がきれいになり、熱効率もよくなります。当施設の薪ストーブにこの二次燃焼の機能が備わっております。
正しい焚き方チェックポイント
- 適正温度で焚けているか?
- 太すぎる、多すぎる薪を補給していないか?
- ガラスが曇っていないか?炉内がすすで真っ黒になっていないか?
- 薪が乾いているか?
- 空気を絞り過ぎて酸素不足になっていないか?
- 薪を補給するタイミングは正しいか?